研修医の声

倉敷中央病院 教育研修部2年目/小坂田 皓平

 私は2014年12月に1ヶ月の間、ももの里病院で研修を受けさせていただきました。倉敷からは車で県道を通って約50分程度の距離にあり、周囲を山に囲まれた、のどかな雰囲気の病院でした。医局からは紅葉を終えた山が見え、とても心が落ち着く環境でした。

 精神科病院での研修にあたり、やはり閉鎖病棟のイメージが強かったので、正直ちょっと怖いなぁと思いながら研修を始めました。最初は病棟の廊下を歩く時も、「急に誰か飛び出して来るかもしれない」「突然、大声出されてもビビらないようにしよう」など、少し警戒しながら歩いていました。時間が経つにつれ、少しずつですが、どのような患者さんが入院されているのか、分かってきました。統合失調症の急性期で保護室に入室している方、アルコール依存症で自ら教育入院をしている方、数十年にわたる長期入院をされている方、本当に色々な患者さんと接することが出来ました。広域な医療圏をカバーしている、伝統ある精神病院ならではの経験をさせていただけたと思っています。患者さんの中には、回診の度に「おはようございます」「どこから来られたのですか」などと声をかけてくださる方も居て、とても嬉しかったです。研修医として、精神疾患の患者さんに偏見を持っているつもりはなかったのですが、患者さんと日々接していくうちに、患者さんの不安やつらい気持ちが少しずつ伝わってきて、今まで気付けなかった色んなことに気付かされ、ここに来てよかったなと思いました。研修を終えた今は、警戒心など全く無くなり、去り難い気持ちすらあります。

 研修体制は、基本的には"オーベン"とマンツーマンで行動させていただきました。また、他の先生方にも、講義をしていただいたり、大変お世話になりました。とてもアットホームな雰囲気で、一方で熱意のある指導をしていただき、本当に感謝しています。特にオーベンの平山先生には、1ヶ月本当にお世話になりました。私は循環器内科を志望していますが、向精神薬の使い方のコツや、精神疾患が疑われる患者さんへの接し方など、今後の診療に役立てたいと思う指導をしていただきました。

 病棟以外では、外来診察や訪問看護に同席させていただきました。精神疾患を抱えながら地域で暮らしている患者さんと接することは、なかなか倉敷中央病院では出来ない経験でした。特に、訪問看護が私の印象に残っています。病院と地域の繋がりの大切さと難しさ、そこに熱心に取り組んでいる医療スタッフや地域のボランティアの方々からは、学ぶことが多かったです。地域医療を、精神科疾患という側面から考えられたことは、ももの里病院の一つの特色でもあると思いますし、そのような機会をもらえたことに感謝しています。
だらだらと長くなりましたが、以上で研修紹介とさせていただきます。ももの里病院の皆様には本当に感謝しています。1ヶ月と短い間ではありましたが、本当にありがとうございました。

平成27年1月