研修医の声

倉敷中央病院 ジュニアレジデント2年/ 鷲尾 康圭


 私は初期研修中に倉敷中央病院だけではなく、いろいろな視点から患者さんを診れるようになりたいと思いがあり、また病院だけで言えば岡山県内には他にも沢山ありますが、倉敷中央病院のような比較的市街にある急性期病院とは違った環境の中で、慢性期をじっくり見るような病院での経験を積みたいとの思いから、倉敷市や福山市から離れた山間にあるももの里病院での研修を希望しました。ももの里病院での研修は、当初は驚きの連続でした。今まで自覚症状や検査データの推移を見て回診していた自分にとって、患者さんが歩いて診察室まで来て、今の気持ちや心境を語り、それをカルテに写し取っていく、という精神科ならば当たり前(精神症状で状態を判断するため)のことが、とても新鮮でした。意思疎通は図れないことはよくあることで、話をしようとして面食らうという事は特別なことではありませんでしたが、毎回続けていくと、普段の何気ない会話の中に、患者さんが入院までに至る背景、生き方や考え方が時々垣間見えることがあり、静かな環境の中でじっくり時間をかけて信頼関係や状態を読みとっていくという精神科の醍醐味を見ることが出来たと思います。倉敷中央病院でも高齢者が入院中にせん妄となる方が多く、私の研修中にも前医でせん妄となり治療が難しくなったため転院搬送された患者さんが、入院環境が変わることでせん妄が日に日に良くなっていく経過を経験出来たことも大変勉強になりました。看護師や薬剤師などのコメディカルだけでなく、事務などのスタッフの方も大変優しく声をかけて頂き、研修中困るようなことはありませんでした。また、精神科は特殊な領域でよく分からない分野と正直なところ考えていましたが、ももの里病院の1ヶ月を通して、その敷居が少し下がり身近に感じるようになりました。1ヶ月のほんの短い期間でしたが、大変充実した時間でした。ありがとうございました。

平成26年1月